作家紹介
大野 智史
KOSHIKI ART PROJECT 2004・2009に参加1980年岐阜県出身、山梨県在住。
東京造形大学卒業。東西の美術史を読み込み、21世紀のデジタル化時代における絵画的表現の可能性を探究している。自然と人工、有機物と無機物が対峙したり融合するようなシンボリックでエネルギッシュなイメージが特色。これまでに、グループ展「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟、2009)、「リアル・ジャパネスク世界の中の日本現代美術」(国立国際美術館、大阪、2012)などに出品。AITがレジデンスプログラムと企画協力に関わるメルセデス・ベンツ日本株式会社の文化・芸術支援プログラム「アート・スコープ2012-2014」の選出アーティストとして、2013年にドイツ・ベルリンに滞在。2014年には原美術館で開催された展覧会「「アート・スコープ2012-2014」一旅の後もしくは痕」に出品。
Photo: Kei Okano
大野 綾子
1983年、埼玉県生まれ。彫刻家。
2007年 KOSHIKI ART PROJECT 参加。
日常の風景や生活の中にある、当たり前と思われていることを懐疑的に見て再考することで、浮かび上がる“わからなさ”から新たな発見をしている。思い描くイメージの自由さの中で、石という物質の不自由さを手がかりにし、“わからなさ”が持つ言語を超えた一つ先を「かたち」として留めていく。
主な展覧会は、
個展〈みどりは草の色カマキリの色〉2022年 CADAN 有楽町 by KAYOKOYUKI(東京)
グループ展〈VIVIDOR -人生を謳歌する人- 〉2020年 アズマテイプロジェクト (神奈川)
〈タイムライン —時間に触れるためのいくつかの方法〉2019年 京都大学総合博物館(京都)
2012年 第 7 回大黒屋現代アート公募展 大賞受賞など。
福本 健一郎
1986年、広島県出身。東京在住。
2014年 東京藝術大学大学院 美術研究科 修士課程を修了。水のゆらぎ、地殻の変動、細胞の分裂や結合、大気の中で浮遊する胞子など、自然の中にある様々な事象、また、化石や古い壺など、時間の積層や人の営みの痕跡を感じるものから着想を得て、地球全体を包み込む大きな生命の流れやエネルギー、光を追い求めて描く。近年は油彩やドローイングに加え、木彫と陶芸を組み合わせた彫刻作品を制作。
主な展覧会に
「Fragments of the Earth」(Nanzuka 2G、東京、2023)、「共振する風景」(駒込倉庫、東京、2023)、「あめつちのかけらとうつわ」(国立新美術館、SFTギャラリー、東京、2020)、「やんばるアートフェスティバル」(沖縄、2019)、「3331Art Fair」(Blum&Poe、東京、2019)、「風景詩、 福本健一郎 /スティーブン・ウォン」(就在芸術空間 Project Fulfill Artspace、台北、2017)、「After images...」(iPreciation、シンガポール、2017)など。
中山 晃子
KOSHIKI ART PROJECT 2011・2012に参加。
1988年生まれ。画家。色彩と流動の持つエネルギーを用い、様々な素材を反応させることで生きている絵を出現させる。絶えず変容していく「Alive Painting」シリーズや、その排液を濾過させるプロセスを可視化し定着させる「Still Life」シリーズなど、パフォーマティブな要素の強い絵画は常に生成され続ける。様々なメディウムや色彩が渾然となり、生き生きと変化していく作品は、即興的な詩のようでもある。鑑賞者はこの詩的な風景に、自己や生物、自然などを投影させながら導かれ入り込んでいく。
近年では、VOCA2024、Ars Electronica festival (オーストリア リンツ)、MUTEK モントリオール、Tokyo 2020 オリンピック閉会式等。
加藤 泉
1969年、島根県生まれ。東京、香港を拠点に活動。1998年頃より画家として本格的なキャリアをスタート。子供が描くようなシンプルな記号的な顔の形に始まり、現在まで人がたを手がかりに展開している。絵画作品だけでなく、木、ソフトビニール、布、石、鋳造など、様々な素材を使った彫刻作品も制作している。
2007年ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(イタリア館、ベニス、イタリア)招聘をきっかけに国内だけでなく国際舞台にて活動。主な個展として、Red Brick Art Museum (北京、中国、2018年)、Fundación Casa Wabi (プエルト・エスコンディード、メキシコ、2019年)、原美術館/ ハラ ミュージアム アーク(東京/群馬、2館同時開催、2019年)、SCAD Museum of Art (サバンナ、米国、2021年) 、ワタリウム美術館(東京、2022年)、パブリックプロジェクトとしては、「ハワイ・トリエンナーレ2022」 (ホノルル、米国、2022年)、「A SUMMER IN LE HAVRE」(ル・アーブル、フランス、2022年)、「Sculpture Milwaukee 2024」(ミルウォーキー、米国、2024年)など。
Photo: Claire Dorn
遠藤 利克
1950年岐阜県生まれ。埼玉県を拠点に活動。1970年代より焼成した木、水、土、金属などを用い、〈円環〉、〈空洞性〉等を造形の核とした作品を発表。人間の根源を追求した物質感あるダイナミックな彫刻作品を発表し続け、国内外で高く評価されている。
1987年「ドクメンタ8」(ドイツ)、1988年/1990年「ベネチア・ビエンナーレ」(イタリア)などの著名な国際展に参加し、その後も多数の展覧会が国内外で開催。近年の主な展覧会に、2019年「瀬戸内国際芸術祭」(香川)、2017年「遠藤利克 聖性の考古学」(埼玉県立近代美術館、埼玉)、2015年「空洞説–水の座」(SCAI THE BATHHOUSE、東京)、2003年「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟)、2009年「供犠と空洞」(国際芸術センター青森、青森)など。
また、国立近代美術館、東京都現代美術館、原美術館、埼玉県立近代美術館、国立国際美術館、ロサンゼルス現代美術館など多くの美術館にて作品が所蔵されている。主な受賞歴としては、2017年度毎日芸術賞がある。
杉浦 亜由子
1984 年東京生まれ。2007 年武蔵野美術大学彫刻学科卒業。2010 年ロンドン大学スレード校美術
学部彫刻科修士課程修了。現代における「信仰心」や「畏怖」の本能的な在り方を探求する作品を発表している。自然界に存在する色や形から発想を得て作られたこの一連の作品は、シンメトリー構造をベースとし、古くから儀礼に用いられてきたスパイスを用いることで色や匂いをまとわせ、人間の体の代用品として使われるシリコンを用いてきた。これらの視覚から嗅覚へ、そして触覚へと本能的に導く諸要素は、鑑賞者に自らの記憶を探らせることで内なる自己と対話するような感覚を促す。
主な展示に、「Making poetry with solid objects Ⅱ」(駒込倉庫、東京、2024)、個展「Something Mythical」(capsule、東京、2023)、「New Works Vol.2」(東京、2022)、 「それは、つまり物を以って詩をつくることである」(東京、2022)、「ロンリーロンリー論より証拠 」(東京、2021)、 「Matrix Session」 (2019)、「ART VACANCES」(2017)、「Inside the Layers」 (g-FAL、武蔵野美術大学、2014)、個展「Second Skin」( ロンドン、2012)、「The Charter of the Forest」 The Collection, Usher Gallery & Chambers Farm Wood、(リンカンシャー、2011)、「London Art Fair - Art Star Super Store」(ロンドン、2011) など
Mrs.Yuki
Mrs. Yukiは、自然界の遺伝交配に関心をいだいた平嶺林太郎と爬虫類や昆虫がもつ形状や色彩に惹かれる大久保具視が出会い、2009年に結成したアーティストユニット。ボールパイソンの飼育・繁殖を通じて生命の固有性に分け入り、生物学的な観察を造形の実践を試みる。生物学的観測と作品の彫刻的な実践を統合し、生命の固有性と多様性を探求しながら制作活動を行っている。
平嶺林太郎
1983年鹿児島県生まれ
2008年東京造形大学大学院美術研究領域修了
大久保具視
1982年神奈川県生まれ
2008年東京造形大学大学院美術研究領域修了
2009年Mrs. Yuki 結成
2016年美術家バンド THE TETORAPOTZ 結成
主な展覧会に、2023年六本木アートナイト2023(イグノポール2F/東京) 、2022年とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう(新宿歌舞伎町能舞台/東京)
菅 隆紀
1985年長崎県生まれ
愛知県立芸術大学卒業
KOSHIKI ART PROJECT 2012 参加
表現する支持体は、スニーカーや身体、歴史的建造物など、キャンバスに留まらない。日々我々が疑いなく見ている風景を、ドリッピングや剥ぎ取る痕跡により、表と裏を繋げ新しい視点を生み出していく。近作では、アメリカ合衆国ナバホ族保留地の大地にダイナミックな絵画を描くなど、民族の風習や土地柄と共鳴し合うとともに、ストリート・アートの再構築を試みている。主な展覧会・プロジェクトに、ドリッピングプロジェクト ( 京都 、2013)、日本の皮膚と肉体のはざま ( ブラジル 、2018)、CASAWABI レジデンスプログラム ( メキシコ 、2019)、丸の内ストリートパー ク (東京 、2021) など。主な受賞歴に、ART IN THE OFFICE Program 2016 グランプリなど。
大田黒 衣美
KOSHIKI ART PROJECT2004参加
福岡県出身。東京造形大学美術学科絵画科専攻、東京藝術大学大学院修士課程油画科終了。2019 年に文化庁新進芸術家海外研修制度を受けベルリンを拠点に活動。現在は愛知県在住。
ウズラの卵やチューイングガム、ティッシュペーパーなどを素材とし、絵画や写真、インスタレーション等、様々な手法を用いて不安定な心に潜む原始的な知覚や思念を顕現させる作品を制作している。
主な展覧会に、
「Boiled Aqua」富山県美術館(富山/2024)、「食と現代美術 Part7ー食とアートと人と街ー」BankART1929(神奈川/2023)、「ねこのほそ道」豊田市美術館(愛知/2023)、「the reverie」KAYOKOYUKI(東京/2022)、「DOMANI・明日展 2021」国立新美術館(東京/2021)、「MESA」クンストラーハウス・ベタニアン(ベルリン/2020)、「project N 55」オペラシティ・アートギャラリー(東京/2014)など
鈴木 知佳
1982年 東京都生まれ。2009年 東京造形大学大学院造形研究科造形専攻美術研究領域修了。KOSHIKI ART PROJECT 2007〜2012参加。
写す/模す/遷すことを通して存在の起源を辿り、事物が体現している時 - 生成と消滅の繰り返しの内に在る、今 - に臨もうと試みる。「KOSHIKI ART PROJECT」を経て制作されたシリーズに、路傍・海岸等で採取した砂–プラスチックやガラス、陶片、等かつて何かだったものの欠片–を識別し、色ごとに並べた標本「名付けられた色の終わり 名付けられない色のはじまり」。海辺で拾った漂流物–漂流ゴミとして燃やされ溶けたプラスチックや砂や木や珊瑚が混ざり合い、冷えて固まって風化した塊–の火山が爆発し溶岩が流れ地が生まれてゆくような自然作用が圧縮された姿を風景として写す「Plastic Landscape」等。人工物という人が自然の中から手に入れた営みが人の手を離れ再び自然の時間の内へと還ってゆく様が、森羅万象を巡る人と自然の往還を体現するファウンド・オブジェクトへと置き換えられてゆく。
主な展覧会に、個展「現代の化石−地球の仮晶」(Bohemian’s Guid CAGE、東京、2023)「時 点」 (rin art association、群馬、2021) 「 Monologue of the Blank 」(ex-chamber museum、東京、2019)個展「ここに在る不在」(gallery ON THE HILL、東京、2017)、主な受賞歴に「3331 ART FAIR 2022 / Selection-GYM -ex-chamber museum 推薦」コレクターズ・プライズ 川村嘉久[川村文化芸術振興財団賞]、「SICF20」倉元美津留審査員賞 (スパイラル、東京、2019)等。
南 隆雄
1976年大阪生まれ、現在パリを拠点に活動。アートとテクノロジーの関係を、歴史、身体、存在論などを越境しながら独自の視点で読み解き、ビデオ、インスタレーション、写真作品を制作している。
近年の主な個展に「Sundial」CAPSULE (2022)、「コレクション・サーベイ」北海道立北方民族博物館 (2019年)、「南隆雄: Difference Between」オオタファインアーツ(2016年)、「クリテリオム80:南隆雄」水戸芸術館(2010年)、「Flickers: New Media Art From Japan」ゲーテインインスティテュートハノイ(2009年) 、主なグループ展に「19th DOMANI・明日展」国立新美術館(2016年)、「The Shadow Never Lies」 上海21世紀民生美術館(2016年)、「第12 回リヨンビエンナーレ」 リヨン現代美術館(2013年)など。作品はFRAC-Artothèque Nouvelle-Aquitaine、東京都現代美術館、ピノー・コレクション等に収蔵されている。
和田 礼治郎
1977年、広島県生まれ。ベルリン(ドイツ)在住。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程彫刻専攻修了。物理的な現象や力学による独自の手法を通じて、宇宙、生命、時間などの形而上学的な主題に取り組んでいる。
水面にガラス製モジュールを浮かべた《ISOLA》、自然の滝を曲げ水平鏡と交差させた《VIA》、生の果実が空中に浮かぶ《STILL LIFE》など、環境に直接的に介入し、多次元的な配置が特徴的なその彫刻は、見る者の知覚と作品が置かれた空間に作用を及ぼす。
主な展覧会に、個展「NACT View 04 Reijiro Wada: FORBIDDEN FRUIT」 (国立新美術館、東京、2024)、「Before/After」(広島市現代美術館、広島、2023)、「Ambivalent Landscapes」(ベルリン国立アジア美術館、ベルリン、2022)、個展「Market and Thieves in a Cloister」(SCAI THE BATHHOUSE、東京、2022)、「りんご宇宙」(弘前れんが倉庫美術館、青森、2021)、個展「Embraced Void」(ダニエル・マルツォーナ、ベルリン、2020)、「トビリシ建築ビエンナーレ」(トビリシ、2018)、「On the art of building a tea house」ニュルンベルグ新美術館、ニュルンベルグ、2017)、個展「HaL Hofskulptur#1」(ハウス・アム・リュッツォープラッツ、ベルリン、2016)、個展「禁断の果実」 (レコレ国際センター、パリ、2016)、「あいちトリエンナーレ2013」(愛知、2013)など。
Photo: Enric Duch
森 靖
森靖は、伝統的な彫刻技法と人気アイコンやシンボルのイメージを融合させ、混沌とした現代社 会を反映した彫刻作品を制作している。
2010年の初個展「Can’t Help Falling in Love」では、ギリシャ神話にインスパイヤされた彫刻 「Leda and the swan」などを発表。翌年には横浜トリエンナーレ「OUR MAGIC HOUR-世界 はどこまで知ることができるか?」に参加。 2020年に約4mのエルヴィス・プレスリーをモチーフにした作品をPARCELにて、10年ぶりの個 展で発表。2022年にはPARCELからFrieze SeoulのAsia Focusセクションにて個展形式で参 加。 2023年には人類が医学的記録に現存する身長と同サイズの、2体の「3MMM」をPARCELにて 個展で発表。オーストラリアのNGV(ビクトリア国立美術館)に収蔵された同作品でNGVトリエ ンナーレ2023に参加している。
鈴木 のぞみ
1983年埼玉県出身。埼玉県在住。
東京造形大学美術学科絵画専攻卒業。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。光の諸現象により、日常の事物に見出すことができる潜像を〈事物の記憶〉であると捉え、写真の原理を通して顕在化した作品制作を行う。
主な展覧会に「The Mirror, the Window, and the Telescope」(ポーラ美術館、神奈川、2024)、「Resonant Scenery / 共振する風景」(駒込倉庫、東京、2023)、「潜在景色」(アーツ前橋、群馬、2022)、「The Rings of Saturn / Mirror with a Memory」(rin art association、高崎、2021)、「無垢と経験の写真 日本の新進作家vol.14」(東京都写真美術館、東京、2017)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」(埼玉県立近代美術館、埼玉、2016)などがある。「現代美術の展望―新しい平面の作家たちVOCA展2016」VOCA奨励賞受賞。平成30年度ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスにて研修。作品は東京都写真美術館やアーツ前橋に収蔵されている。